サイナスリフトやソケットリフトを行う理由
上顎の奥歯の上で、鼻の隣、目の下に サイナス(上顎洞のこと、別名:副鼻洞) という骨の空洞があります。歯が抜けて時間が経過してしまった・歯周病で骨が無くなってしまったなど、何らかの理由でサイナスまでの骨の厚みがインプラント治療をするには足りない場合があります。
無理やりインプラントを埋め入れることは出来ますが、支えている骨がない状態ではインプラント体がサイナスを突き抜けてしまいます。支える骨がない状態で負荷がかかってしまうと、インプラント体がサイナスに落ちてしまう可能性があります。そこで、ソケットリフトやサイナスリフトという術式を用いて、十分な骨の厚みをとるために上顎洞の中に骨を足していきます。
サイナスリフトは、歯が生えていた部分の側面の歯ぐきから 施術します。骨の厚みが5mmより少ないときや、多数の歯が欠損しているときに行います。上アゴの歯肉の側面に切開を入れ、骨面を露出しさらに10~30mm程ある歯槽骨を四角形の形に切り抜きます。 窓を開けると シュナイダー膜(上顎洞粘膜) が露出しますので、注意深く歯槽骨ととシュナイダー膜をはがしていき、スペースができたところに移植骨で埋めていきます。
骨がしっかりできるまでに約3~6ヶ月待ちます。そのあとにインプラントを埋め入れますので、治療期間は約9ヶ月必要となります。
ソケットリフトは、歯の生えていた部分から(歯を抜いたときはその穴から)施術します。通常のインプラント治療をするには骨が足りないものの、シュナイダー膜までの骨の高さが5mm以上ある場合に適用できます。サイナスリフトと比較すると、傷口が小さいため処置時間が短くなり痛みや腫れもより少ないとされています。
上アゴのインプラントを埋め入れる穴(歯が生えていた場所)に、移植骨を入れて少しずつシュナイダー膜を押し上げていき、インプラントを埋め入れるのに十分な骨の厚さを確保します。
同時にインプラントを埋め入れます。治療期間は約3~4ヶ月程度です。
上顎洞挙上術(サイナスリフト)
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上顎骨の内部には上顎洞と呼ばれる大きな空洞が存在します。
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歯がなくなると、歯槽骨の吸収が進行します。上顎の場含は、図のように上顎洞の拡大も進行する可能性もあり、歯槽骨はさらに薄くなります。
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歯槽骨の骨量が少なくなると、インプラントが埋入できなくなリます。
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歯槽骨の薄い部分の上顎洞底部に移植骨や骨補填材を填入することで、インプラントを埋入できるようになります。上顎洞底へのアプローチのしかたにより、側方からのアプローチ法(ラテラルウィンドウ、狭義のサイナスリフト)と、歯槽骨頂からのアプローチ法(クレスタルアプローチ、ソケットリフト)の2つがあります。
サイナスリフト(ラテラルウィンドウ)
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右上大臼歯部にインプラント埋入を計画。
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拡大
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上顎洞の側方の歯肉を剥離します。
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上顎洞側壁の骨を削り、窓を開けます。この小さな窓から上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を持ち上げます。
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上顎洞粘膜が持ち上がってできたスペースに、骨あるいは人工骨を填入します。
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上顎洞の側壁を戻し歯肉をもとに戻します。
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骨が成熟したら、インプラントを埋入します。
症例について
術前パノラマX線写真
CTデータより3D画像を構築
左上に2本のインプラントを計画
上顎咬合面観
術前CT 1
第二小臼歯部
インプラントをシミュレーション
術前CT 2
第一大臼歯部
インプラントをシミュレーション
サイナスリフト手術
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術前
術後
術前CT 1
第二小臼歯部
サイナスリフトと同時にインプラントを埋入
術前CT 2
第一大臼歯部
サイナスリフトによりインプラントの埋入が可能
術後レントゲン写真